山階鳥類研究所 アホウドリのページアホウドリ 復活への展望

アホウドリってどんな鳥?

ここでは、山階鳥研が保護活動を行なっている絶滅危惧種のアホウドリとは、どのような鳥かをご紹介します。(文中敬称略)

アホウドリってどんな鳥?

アホウドリってどんな鳥?

 

写真|アホウドリ(クリックすると大きいサイズの写真を見られます。)
  • 和名:アホウドリ
  • 学名:Diomedea albatrus
  • ミズナギドリ目アホウドリ科
  • 特別天然記念物*(文化財保護法。なお、おもな繁殖地である伊豆諸島の鳥島も、アホウドリとは別に天然記念物(天然保護地域)に指定されています)
  • 国内希少野生動植物種(種の保存法)
  • 絶滅危惧II類(環境省レッドデータブック改訂版<2002>)

アホウドリの仲間

アホウドリはミズナギドリ目アホウドリ科に属しています。ミズナギドリ目にはアホウドリ科に加えてミズナギドリ科、ウミツバメ科、モグリウミツバメ科という科があり、いずれも子育ての期間以外は一生を海の上で過ごす生粋の海鳥です。アホウドリ科には13種がいて、いずれも○○アホウドリという名前がつけられています。このうち、10種は南半球、1種は赤道付近に住んでおり、3種だけが北半球に住んでいます。この3種のうち、名前のあたまに何もつかない「アホウドリ」が、山階鳥研が伊豆諸島の鳥島で保護活動をしている鳥です。残りの2種はアホウドリよりひと回り小さいクロアシアホウドリとコアホウドリで、この2種も日本国内で観察することができます。

写真|クロアシアホウドリ(クリックすると大きいサイズの写真が見られます)

クロアシアホウドリ(アホウドリ科)(写真:私市一康氏)

写真|コアホウドリ(クリックすると大きいサイズの写真が見られます)

コアホウドリ(アホウドリ科)
(写真:私市一康氏)


写真|シロハラミズナギドリ(クリックすると大きいサイズの写真が見られます)

シロハラミズナギドリ(ミズナギドリ科)

写真|クロウミツバメ(クリックすると大きいサイズの写真が見られます)

クロウミツバメ(ウミツバメ科)


近年、アホウドリ科を24種とする考えが提唱されていますが、これは新たに図鑑に載っていない種が発見されたというわけではなく、上記の13種について地理的な変異をもとに種を細分したものです。この考えによって細分されるのは南半球の種で、北半球の3種については3種のままです。また、北半球の3種と赤道付近の1種が系統的に近縁なことから従来のDiomedea属からわけて独立のPhoebastria属とすることが提唱されています。この場合アホウドリの学名は従来のDiomedea albatrusからPhoebastria albatrusとなります。

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どんな大きさか

アホウドリは翼のさしわたし(翼開長)が213〜229cmあり、体重は4〜5kgある、日本では最大級の海鳥です。



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どこにどのくらい棲んでいるか

アホウドリは150年ほど前には北西大平洋の島々に分布していて、個体数は少なくとも数十万羽いたと考えられていますが、現在、全世界で伊豆の鳥島と尖閣諸島の南小島と北小島にしかおらず、長谷川博教授(東邦大学)によると種としての総個体数は2000羽と推定されています。尖閣諸島の総個体数は300〜 350羽程度と考えられ、全世界の個体数の大部分は鳥島に生息しています(長谷川教授、2006)。アホウドリが減少してしまったのは、19世紀後半から20世紀前半にかけて人間が羽毛を採取するために乱獲したのが原因です。

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どんな生活をしているか

アホウドリは、夏の間はずっと海の上で生活しています。その間は、海面上で休むか海の上を飛んでいるかのどちらかです。そしてこの夏の間、繁殖地の島を離れて太平洋を北上し、アリューシャン列島方面に移動することが最近の人工衛星を使った追跡調査であきらかになってきました。一部はアラスカ、カナダからカリフォルニア沿岸にも達することが知られています。成鳥は、秋に繁殖地の島に戻って冬に子育てをしますが、5歳程度までの若い鳥は島には戻らず1年中海上で暮らします。食べ物は魚、イカ、オキアミなどです。

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絶海の孤島で集団で子育てする

アホウドリは、絶海の孤島で集団で子育てをします。絶海の孤島は、場所は限られている反面、哺乳類などの外敵が来ることができないため安全に子育てをすることができるので、餌さえ手に入れば集団で繁殖しても不都合はないのです。鳥の中には、林や草原で巣作りするものもいますが、これらの鳥では、ごく少数の例外を除いて互いの巣は離れており、それぞれの巣は目立たないように隠されて作られます。これは、餌の入手しやすさの問題のほかに、林や草原ではどこでも巣をつくることができる反面、集団では目立ってしまって外敵に狙われやすくなるため、分散して隠れた巣を作る方が好都合なためと考えられます。林や草原に住む鳥と孤島で巣を作るアホウドリとは好対照をなしています。アホウドリ以外にも、海鳥の中には孤島で集団で繁殖するものが多くあります。

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長生きし、子供は少なく産んで大切に育てる

アホウドリは寿命が長く、31歳でヒナを育てていた例が知られています(長谷川教授, 2006による)。他のアホウドリ類では、コアホウドリで42歳という長寿記録があります(Welty & Baptista, 1988による)ので、アホウドリでもそのくらい長生きする可能性があります。

アホウドリが繁殖をはじめる年齢は遅く、早いもので5歳、平均で7歳程度です。美しい成鳥の羽色になるのは8〜10年かかります。1年に1回、1卵のみを産み、抱卵日数は64〜65日、ヒナが巣立つまでに4ヶ月ほどかかります。鳥の中には1回に何羽ものヒナを育てて、年に複数回繁殖する代わり、寿命はいたって短いというものもいますので、それに比べるとアホウドリは少産少死型といえます。外敵の少ない孤島で、自分は長生きして、子供は少なく産んで大切に育てるという人生設計なのです。しかしこの方針は外敵がほとんどいないことを前提としたものですので、思わぬ外敵が出現すると簡単にしてやられてしまいます。人間がアホウドリをいくらでも殺すことができたのも、一旦減ってしまうとなかなか数が戻らないのも、このアホウドリの生き方に大きく結びついているのです。

写真|アホウドリのヒナ、孵化後3ヶ月(クリックすると大きいサイズの写真が見られます)

孵化後約3ヶ月のヒナ

写真|アホウドリのヒナ、巣立ち直前(クリックすると大きいサイズの写真が見られます)

巣立ち直前のヒナ


写真|アホウドリ、鳥島に帰ってすぐの若鳥(クリックすると大きいサイズの写真が見られます)

鳥島に帰ってすぐの若鳥(黒っぽい個体)

写真|アホウドリ、美しい成鳥(クリックすると大きいサイズの写真が見られます)

美しい成鳥


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アホウドリの一年

アホウドリは夏には北太平洋上で生活し、冬には繁殖地の島に戻って子育てをします。年間のだいたいのスケジュールは次のようです。

●10月10〜15日頃
島へ飛来
●10月末〜11月前半
1卵を産卵。抱卵はオスメスが、だいたい10〜20日ごと、最大でも25日で交代して行う。
●12月末〜翌年1月前半
産卵から約65日で卵が孵化。当初はオス、メス交代でヒナを温める。
●4月中〜下旬
親鳥はヒナを島に残して海へ飛び去る。この時ヒナの体重は親鳥よりも重い。
●5月中〜下旬
ヒナは数週間の絶食で痩せてから、巣立ちして海へ飛び出す。

ヒナの餌は、親鳥が海でのみ込んできたイカ、オキアミ、魚等を吐きもどして口移しで与えます。親鳥がヒナより先に営巣地から離れ、海へ旅立ってしまい、ヒナは親の世話なしで数週間くらしてから巣立つのはミズナギドリ目ではよく見られる巣立ちのやりかたです。

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