研究・調査

2017年4月14日掲載

2011年に使用された全国のツバメの巣の放射性セシウムを調査
〜福島第一原発事故 鳥類の生息環境への影響調査〜

福島第一原子力発電所事故による鳥類の生息環境への影響を調査するため、2011年に繁殖に使用されたツバメの巣を調査したところ、全国21都道府県中、1都12県の巣から放射性セシウムが検出されました。

『山階鳥研ニュース』 2015年7月号より

収集されたツバメの巣

収集されたツバメの巣

調査した巣は新聞や山階鳥研のウェブサイト等で呼びかけるほか、地域の野鳥団体関係者などにもお願いして送っていただいた巣で、197巣のうち182巣について国立環境研究所で測定したところ、1都12県の150巣から放射性セシウムが検出されました。

検出されたのは、宮城、山形、福島、茨城、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、石川、山梨、静岡の都県で、検出されなかったのは、北海道、岐阜、愛知、京都、鳥取、岡山、愛媛、鹿児島の道府県です(注1)。

福島県内のすべての巣から放射性セシウムが検出され、Csー134とCsー137の合計濃度が最も高いものでは、90,000Bq/kgでした。巣の放射性セシウム濃度は営巣地周辺の土壌中の放射性セシウム濃度が高い地域ほど高い値でしたが、同じ地域内でも濃度にばらつきが見られました(注2)。今後は引き続き巣の線量変化を調査するとともに、ツバメの繁殖成績の変化の有無を記録して、汚染との関係を調査することが必要と考えられます。

巣材を運ぶツバメ

巣材を運ぶツバメ

繁殖中のツバメの巣を壊さないようお願いします

今回の結果で得られたツバメの巣に含まれる放射性セシウム濃度は通常の生活を営んでいる限り、人体に直ちに影響が出るレベルではありません。放射線量は、 放射線を発する物体からの距離の二乗に反比例して低下します。距離50センチ、5メートルでの線量は距離5センチのそれぞれ、100分の1と10,000分の1となります。さらに、この調査結果は2011年当時の巣に関するものです。ツバメは、巣の周囲数百メートル程度の範囲の泥や藁などを使って巣を作っています。その後4年の経過を経て、空間線量が低下していることも知られており、周辺の泥などを使ったツバメの巣の放射性セシウム濃度も当時より低下していると推測されます。

この結果について5月22日にプレスリリースを行いましたが、発表によって、繁殖中のツバメの巣が壊されるなどのことが全国で起こるとするなら、野生動物 保護、生物多様性保全の見地から好ましくないと考えています。この点についてなにとぞご理解いただけますようお願いいたします。

本調査は、三井物産環境基金2011年度東日本大震災復興助成を受けて、山階鳥研と国立環境研究所の共同研究として実施しました。巣の提供ならびに、巣の情報を寄せてくださった皆様、巣の採集にご協力くださった皆様、福島県をはじめとする日本野鳥の会各支部の皆様、継続的に調査に協力してくださっている日本野鳥の会郡山支部の皆様に御礼申し上げます。

(注1)本文中に記したように、巣を調査したのは巣をお送りいただけた都道府県です。特定の意図や基準によって対象の都道府県を選定したものではありません。

(注2)ツバメの巣を採集した位置の地図と、県ごとに調査した巣の数、濃度の平均値、最大最小値などについては下記リンクからご覧ください。

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