山階鳥類研究所 アホウドリのページアホウドリ 復活への展望

アホウドリ最新ニュース

2026年10月5日掲載

一時は絶滅したと考えられたアホウドリ、
鳥島でついに1万羽まで回復!

山階鳥類研究所研究員 富田直樹

1万羽回復までの道のり

2026年2月から3月に伊豆諸島鳥島(以下、鳥島)で行われたアホウドリの繁殖モニタリングによって、鳥島のアホウドリ個体群は11,067羽と推定され、1951年のアホウドリ再発見後、はじめて1万羽を超えるまで回復しました。2025-26年の繁殖期に鳥島全体で確認された総ヒナ数1,591羽から、繁殖に参加しているペア数を2,114ペア(4,228羽)、非繁殖個体(6歳以下の若鳥)を5,248羽と推定した結果です。

図:鳥島のアホウドリ個体数推移

1998-99年シーズンから2025-26年シーズンまでの鳥島のアホウドリ個体数の推移

かつてアホウドリは、鳥島以外にも小笠原諸島や尖閣諸島、大東諸島、台湾の各島嶼で繁殖していました。1888年に鳥島で調査を行った服部徹は、アホウドリの個体数を幾億萬とも表現するほどでした。しかし、明治時代に羽毛採取を目的とした組織的な大量殺りくによって激減し、1902年までに少なくとも500万羽のアホウドリが捕殺されたと言われています。その後も個体数の減少は続き、1949年にアメリカのオリバー・オースチンによってアホウドリは絶滅した可能性が高いと発表されました。しかし、1951年に鳥島で気象観測等を行う鳥島測候所の職員によって、島南部の燕崎で再発見され、保全活動が開始されました。1965年に鳥島の噴火の危険が高まり測候所が引き上げたため、保全活動は一時中断しましたが、1976年から長谷川博氏(東邦大学名誉教授)が繁殖調査と保全活動を再開しました。環境庁(当時)や東京都とともに急斜面の燕崎営巣地の環境改善工事などを行い、アホウドリの繁殖成功率を向上させることに成功しました。さらに、山階鳥研も加わり1992年から島の反対側にある緩斜面の初寝崎にデコイ(実物大の模型)と音声を使ってアホウドリを誘引し、新たな繁殖地を形成する「デコイ作戦」を開始しました。これらの成功と多くの方の尽力によって、鳥島におけるアホウドリの個体数は、2026年3月現在で1万羽まで回復しました。しかし、かつては数十万羽以上いたとされるアホウドリにとって、これは通過点にすぎません。

写真:アホウドリの親子

写真:鳥島の初寝崎営巣地の様子

上)アホウドリの親子
下)鳥島の初寝崎営巣地の様子

今後に向けて

アホウドリは現在、環境省レッドリスト絶滅危惧II類(VU)に選定されています。絶滅危惧種からはずれるには、アホウドリ繁殖地復活プロジェクトが進行中の小笠原諸島聟島(むこじま)での繁殖数のさらなる増加が必須です(詳細は本誌2026年7月号を参照 ※こちらからお読みいただけます)。また、アホウドリ類の脅威として、現在も漁業混獲や外来種,気候変動などの脅威は消えていません。さらに、アホウドリは、これまでひとつの単位として保全活動が進められてきましたが、鳥島と尖閣諸島の集団は別種ほどに異なることが近年明らかとなりました。今後はそれぞれの繁殖地の現状や生態をもとに、独自性を保つ保全策の検討が急務となっています。

シンポジウム開催

9月27日に開催する『アホウドリ1万羽達成!記念シンポジウム』では、今後も鳥島および聟島においてアホウドリのモニタリングや、センカクアホウドリの調査を継続するべく、長年アホウドリの保全や研究に携わってこられた10名の方にご講演いただきます。シンポジウムを通して私たちの活動を広く知ってもらい、みんなでアホウドリの未来を考えることを目的とした、またとない機会です。ぜひ皆様会場へ足をお運びください!(※イベントは終了しました。)

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