3.3.4 抱卵・育雛


 抱卵は、日中は雌雄交代で行い夕方から翌日の朝までは雌が抱卵する 11)。この間抱卵はほとんど休止されず、連続して行われた(図3.17)。また交代の際に特に目立った行動は観察されなかった。

図3.17 抱卵期の親の巣内時間(No.1巣)
図3.17

 育雛期は便宜的に、前期、中期、後期に分けたが、前期では抱卵期と同様に雄が日中、雌が残りの時間を分担し 11)、抱雛が休止されていた時間は少なかった。ハト類の給餌はピジョンミルク(1.2参照)によって行われるため、抱雛している個体が抱雛中又はその前後にヒナに対する給餌を行った(図3.18)。

図3.18 育雛前期の親の巣内滞在時間及び給餌時間(No.10巣)
図3.18

 育雛中期になると、抱雛はほとんど行われなくなるが、給餌回数は増加した。夜間の抱雛は行われないと思われる(図3.19)。

図3.19 育雛中期の親の巣内滞在時間及び給餌時間(No.9巣)
図3.19

 育雛後期には、給餌回数の大きな変化はみられないが、雌の巣内時間が増加した(図3.20)。この頃になるとヒナは巣の周囲を歩き回るようになり、巣外にいることがある。さらに、図3.20の例では10月27日の午後に番の交尾が観察されている。これらから、育雛後期の雌の巣内時間の増加は次回の繁殖のための準備としての行動のためと考えられる。なお調査はこの直後に中止されたので次回の産卵は確認できなかった。

図3.20 育雛後期の親の巣内滞在時間及び給餌時間(No.9巣)
図3.20



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