鳥類標識調査

仕事の実際と近年の成果

2013年7月4日掲載

アラスカのハシジロアビが日本へ

アラスカの繁殖地で足環を装着された海鳥のハシジロアビが北海道で回収されました。日本での本種の回収例は初めてです。

『山階鳥研ニュース』 2012年9月号より)

この鳥は、2012年4月14日に小樽市沖の石狩湾内で漁網に混獲されて回収されたものです。装着されたアメリカ合衆国の足環から、同国の標識調査のセンターである、パタクセント野生動物研究所に問い合わせたところ、アラスカ北部の北極圏、ウミアトの北西約159キロで、2007年6月30日に性別不明の第一回夏羽(孵化後1年を経過した羽衣)として足環を装着、放鳥された個体であることがわかりました。

今回判明したハシジロアビの移動

本種はユーラシアと北アメリカの北極海に面した地域で繁殖し、冬には北西太平洋や北東太平洋などに飛来し、海上で暮らします。おもに魚類のほか、甲殻類などの海産物無脊椎動物も餌としています。今回の回収地と放鳥地の距離は直線距離で4,559キロメートルあります。標識調査で、本種が日本で回収された例はこれが初めてとなり、日本で越冬するハシジロアビが、アラスカの北極海沿岸から渡来していることが足環の証拠により確かめられました。アメリカの標識センターからも、本種の越冬地からの回収は初めてで大変興味深いというコメントが来ています。

アラスカの北極海沿岸で足環を装着され、小樽市沖の石狩湾内で回収されたハシジロアビ。右下は金属足環。938-15223という番号の一部と、メリーランド州ローレルというパタクセント研究所の住所が刻印されている。

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