山階鳥類研究所




(2009年7月9日更新)



聟島を巣立ったアホウドリ、順調に北上中

 昨年に引き続き、アホウドリのヒナの巣立ち後の行動を衛星で追跡しています。
今年の5月に小笠原群島聟島を巣立ったヒナ15羽のうち7羽に、衛星発信器を装着しており6月30日現在、7羽とも位置が確認できています。
 現在、一番遠くまで渡っているものは、聟島から約3,200キロの地点(オホーツク海中央)まで到達しています。
 また、比較のために鳥島の野生ヒナ7羽にも衛星発信器を装着したところ、聟島に移送したヒナは巣立ち後、本州沿海に接近するなどしながら北上していますが、鳥島の野生ヒナの多くはやや東よりのコースをとっています。>聟島での今年の飼育結果はこちら
(2009年7月7日報道発表より)

6月30日までの衛生追跡経路結果



  
性別
巣立ち日
   
5/14
聟島の飼育ヒナ 最新受信位置(6/30)
5/17
5/22
5/18
5/18
5/22
5/23
5/14〜28
鳥島の野生ヒナ 最新受信位置(6/30)



小笠原諸島へ若鳥3羽、初の来訪 求愛行動も確認

 
今シーズンの飼育期間中、飼育サイト周辺に、デコイ・音声とヒナに誘引されたと思われる、アホウドリの若鳥が少なくとも3羽飛来しました。うち1羽は装着していた金属足環から、2004年に伊豆諸島鳥島生まれの個体であり、しかも2008年5月にはハワイに近いミッドウエー諸島サンド島で確認されたこともがわかりました。

 4月21日には、このうちの2羽が飼育サイトから約300メートル離れた聟島の属島の鳥島で、求愛ディスプレイのダンスを踊るのが観察・撮影されました。若いアホウドリは繁殖適地と番い相手を探していろいろの場所で求愛のダンスをするので、この観察は、聟島での番い形成に期待を抱かせるものです 
>聟島での今年の飼育結果はこちら

(山階鳥研NEWS 2009年7月号より)


求愛のダンスをするアホウドリの若鳥(早川鉄兵氏撮影)





小笠原群島聟島に移送したアホウドリ15羽全部が巣立ち

 小笠原群島聟島へのアホウドリの再導入のために、2009年2月5日に伊豆諸島鳥島から聟島へ移送したアホウドリのヒナ15羽が、5月11日から5月25日までに聟島の飼育サイトから巣立ちしました。

 アホウドリのヒナの移送は2年目で、今年は5羽多い15羽を2月5日に伊豆諸島鳥島からヘリコプターで移送し、山階鳥研の研究員らがキャンプ生活をしながら飼育していたものです。

 現地で飼育を担当した出口智広研究員は「今年もすべての雛を無事巣立たせることが
できて大変うれしく感じています。今年は雛の飼育数が1.5倍に増えましたが、これま
でに多くの経験を得てきたこと、運ばれて来た雛がいずれも人工給餌に順応しやすかっ
たことが成功の理由と思っています。」と述べています。

 山階鳥研は、アメリカ合衆国魚類野生生物局、環境省、三井物産環境基金、公益信託サントリー世界愛鳥基金、朝日新聞社、山階鳥研特別協力会ほかの支援を得て、小笠原群島聟島へのアホウドリの再導入計画を実施しており、ヒナの移送は再導入を速やかに進めるために、5年の予定で実施しています。

※小笠原群島への再導入については、「アホウドリ復活への展望 小笠原諸島への再導入へ」をご覧ください。


オス個体の巣立ち 2009年5月22日 小笠原群島聟島


付近の海上で休むアホウドリの巣立ちビナ
2009年5月24日 小笠原群島聟島



アホウドリの保護活動に助成金

 山階鳥類研究所は、小笠原諸島聟島列島へのアホウドリの再導入に関し、米国内務省魚類野生生物局からの助成契約を行いました。また同じテーマで、三井物産環境基金から助成を受けることが決定しました。さらに公益信託サントリー世界愛鳥基金から「アホウドリの人工飼育を成功させるための基礎生理情報の取得」のテーマで助成を受けることになりました。(山階鳥研NEWS 2009年7月号より)



標本・図書の寄贈 ありがとうございます。

 
今年に入って、山階鳥研に3件のまとまった資料の寄贈がありました。
・藤本勉様:研究用剥製標本101点
・川合千晶様(故・川合市郎様ご遺族):鳥類の研究用剥製標本など 165点
・黒田長高様(故・黒田長久博士ご遺族):鳥類学関係の文献など段ボール箱 154箱
 これら貴重な資料を研究に役立てるため整理作業を進めています。(山階鳥研NEWS 2009年7月号より)



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