2.3.1 害と許容量 6) 10) 11)


 害虫の害に関して加藤(1953)は次のように整理している(大串 1974による)。
 動物が作物などに損傷を与えることを「加害」とし、それによって起こる一連の現象に対して「被害」という言葉をあてる。そしてこの被害によって経済的損失が引き起こされたとき、これを「損害」と呼ぶ。

 これによると、加害及び被害は生物相互または生物と環境との間の生物的相互関係に起因した自然現象と考えられるが、これらが損害として認識される程度は同一ではなく、経済的・社会的・時代的背景によって異なるといえる。

 ところで、経済的損失としての損害があっても、たとえば防除にかかる費用が損害額より大きいとか、加害動物の存在が他の面で有益性を有するとかの場合には、「ある程度の損害」は許容されることがある。この許容できる損害の量あるいは有害さをがまんする量としての許容量は、科学的に決定されるものではなく、人間の生活の観点から論議される社会的な概念であり、一律に定められるものではない。



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