2022年 新年のご挨拶

2022年1月6日掲載

写真:奥野卓司所長皆様、新年おめでとうございます。旧年中も当研究所の活動をお支えいただき、誠にありがとうございました。

2020年からの約2年間、COVID-19が世界的に拡大し、これが人類の歴史に残る事項になることはまちがいないでしょう。今年は、それにどのような形で決着がつけられるのか否か、いまだ、誰にもわかりません。この間のいろいろな形での災禍にあわれている方々に心からお見舞い申し上げますとともに、最前線で闘っていただいている医療関係者の方々に深く感謝しています。そして、この新年がこの危機からの脱出の契機となることを祈らずにはおられません。

山階鳥研の活動も、この2年間、新型コロナ・パンデミックの影響を大きく受けざるをえませんでした。調査活動の自粛・制限、国際的な研究活動のほぼ全面的な停止、共同研究会や成果報告会の中止やオンライン化、研究所の出勤体制の縮小、変更などが突如、連続的に起こってきました。

また全国の皆様と直接、お目にかかり、研究所の活動を知っていただく貴重な機会であった、各地域での賛助会員の集いも残念ながら停止せざるをえませんでした。

こうした状態には、当研究所総裁の秋篠宮文仁殿下もたいそう心を痛めておられ、毎月の所員会議や各報告会にはオンラインで熱心にご出席いただき、貴重なご意見、ご見解を賜(たまわ)ってきました。

山階鳥研では、この間の経験を負にしてしまうのではなく、そこで学んだ知恵を生かして、可能な範囲で活動を継続するとともに、しだいにオンライン併用での同時全国的な研究活動への変革を、山階鳥研ワンチームとして行うようになってきました。

COVID-19をはじめとする近年の人獣共通感染症の頻発が、人間が森を荒らし、自然に対して横柄にふるまってきたことの結果だったということを、世界中の人々が身をもって知ったということは貴重です。人間は自然のなかで他の生き物と共存していくことなしには生き続けることができません。

鳥類という、食物連鎖の高次に位置し、飛翔など人間には不可能な能力をもつ生き物を研究し、人間をはじめとする他の生物との関係性の中で保全の努力を続けることで、私共の研究所は微力ながら地球環境の保全とSDGsの一翼をになってまいりたいと心を新たにしております。

各個人にとっても、国、自治体、企業、団体にとっても困難な中ではありますが、今年も引き続き山階鳥研への温かいご理解とご支援をお願い申し上げます。そして、今年が人類にとって、皆様お一人おひとりにとって、良き年となりますようにお祈り申し上げます。

山階鳥類研究所 所長 奥野卓司

山階鳥研NEWS 2022年1月号より)

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