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 今年度、第12回山階芳麿(やましな・よしまろ)賞の受賞者に、早稲田大学名誉教授、石居進(いしい・すすむ)博士が決定した。山階芳麿賞は国内で鳥類の研究と保護に功績があり、日本の鳥学の発展に貢献された方に贈られている。9月23日に東京有楽町マリオンの朝日ホールで授賞式を行う。
 石居博士の専門は鳥類生殖生理学。同賞選考委員会(委員長=山岸哲所長)では、石居博士が長年研究されてきた鳥類の繁殖に関わるホルモン(ゴナドトロピン)の解明と、その研究成果を利用して、絶滅の危機にあるトキを救おうとした試みを高く評価し、今年度の受賞者に選出した。

【石居博士のコメント】
 山階芳麿著「細胞学に基づく動物の分類法」は私が生物学の新しい方向への大きな感銘を受けた書物でした。トキとの最初の出会いも山階鳥類研究所でした。山階芳麿賞は私にとって何よりも名誉なものです。
(山階鳥NEWS 5月1日号より)
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受賞者の略歴

石居進(いしい・すすむ)

早稲田大学名誉教授
山階鳥類研究所客員研究員
東京都立大学客員教授

●専門
鳥類生殖生理学

●主な経歴

1932年 東京都荏原区で出生
1955年 東京大学理学部動物学科卒業
1961年 同大学生物系大学院修了、理学博士
1964年 早稲田大学教育学部生物学教室助手
1966年 同 助教授
1970年 同大学教育学部及び大学院理工学研究科教授
2002年 同 名誉教授、東京都立大学理学部客員教授
2003年 山階鳥類研究所客員研究員 現在に至る

●主な賞歴
日本動物学会賞(1987)
国際鳥類内分泌学会議第5回D.S.Farner Medal(1999)

●主な論文
1) Daisuke Kawasaki, Tadashi Aotsuka, Toru Higashinakagawa1 and SusumuI shii, 2003. Cloning of the genes for the pituitary glycoprotein hormone and follicle-stimulating hormone subunits in the Japanese crested ibis, Nipponia nippon. Zool. Sci. 20, in press.
2) S. Ishii, 1999. Application of modern endocrine methods to conservation biology. Proc. 22 Int. Ornithol. Congr., Durban. Ostrich (Adams, N.J. and Slotow, R.H. (eds)), 70(1):33-38
3) Wingfield, J. C., S. Ishii, M. Kikuchi, S. Wakabayashi, H. Sakai, N.Yamaguchi, M. Wada, and K. Chikatsuji, 2000. Biology of a critically endangered species, the Toki (Japanese crested ibis) Nipponia nippon. Ibi 142, 1-11.
4) Ishii, S., H. Ando, H. Wako and Y. Kubota, 1993. Molecular Biology of Gonnadotrophins. Avian Endocrinology, ed. P. Sharp, The Society for Endocrinology, Bristol. 123-134.

●主な編書著書
1) Endocrinology of Birds, Molecular to Behavioral, Japan Scientific Societies Press, Tokyo and Springer-Verlag, Berlin, 1990.
2) Atlas of Endcrine Glands, Vertebrates and Invertebrates, A. Matsumoto and S. Ishii, eds, Springer-Verlag, Berlin,1992.
3) 生物統計学入門 培風館、1975.

●主な役職
アジア・オセアニア比較内分泌学会理事
国際鳥類学会議国際委員
河鍋暁斎記念美術館理事


石居進 早稲田大学名誉教授に山階芳麿賞を授賞する理由
山階芳麿賞選考委員会委員長 山岸 哲
 石居進氏は、鳥類の繁殖生理の根底にあるホルモン、ゴナドトロピンについて多面的にその解明に取り組まれ、その成果を使って絶滅の危機にあるトキを救おうと試みられた。「多面的」とは具体的には以下の通りである。
1) 脳下垂体の正中隆起からゴナドトロピンの分泌を制御するために出されるゴナドトロピン放出ホルモンの研究
2) ゴナドトロピンとそのレセプターの研究
3) ゴナドトロピンの精製とそれの世界中の研究者への供与
4) ゴナドトロピンの遺伝子の解明


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