日本を含む東アジアに生息し絶滅が心配されるクロツラヘラサギが、昨年12月、台湾台南県の越冬地で倒れているのが発見され、1月までに71羽も死亡した。全生息数が1,000羽程度と少なく、短期間で生息数の7%が死亡したことになり、個体数のさらなる減少が心配される。この大量死はボツリヌス菌による中毒と見られ、餌場の富栄養化と暖冬による水温の上昇が、菌の増殖につながった可能性が指摘されている。なお、保護収容された15羽のうち13羽は、2月18日に無事放鳥された。
クロツラヘラサギの渡り研究などに関わる尾崎清明・標識研究室長は「希少種の集中化の危険性が現実になった。ナベヅルやマナヅルでは、鹿児島県出水の越冬地に世界の大部分が密集しているので、危険はさらに深刻。早急に分散化を進めなければならない」と話す。 (山階鳥研NEWS 3月1日号より) |
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