4.7 シナントロープ化したドバト


 この章で述べてきたようにドバトは、人類の作り出した環境のなかに実に良く適応して生活している。このような動物をシナントロープと呼んでおり 11)、スズメ等がその代表的な例として知られている。

 ドバトの個体数増加はドバトの生理生態的な特性ばかりでなく、都市化の進行に伴って形成された餌場及び就塒場所の増大、伝書鳩の野生化、天敵不在、ドバトの保護が主に原因している。このことは人為的な作用により、局所的に生活していたドバトを広域的に分布させ、個体数を増加させる原因を作り出したと言える。また同時に、ドバトが増えるにつれてドバトの被害に悩んでいる状況を自ら作り出している。

 ドバトの被害防除、管理からみると、ドバトを増加させないための環境整備が根本的な対策として重要であると考えられる。



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