3.4.2 食性の記録


 多摩動物公園のドバトは、その食物の大部分を飼育動物の飼料に依存していると考えられるが、胃内容物を細かくみると個体によりその内容が多少異なったいた。これはそれぞれの個体によって食物に対する好みがあるためかと思われる。同様に、公園などでドバトにトウコロコシとムギを与えると、トウモロコシ又はムギをおもに食べるドバトがみられる。

 このような飼料、公園のお菓子類又は給餌、穀物倉庫・飼料工場などで落ちこぼれる穀物類などの人工的な食物がドバトのおもな食物源となっているが、これら以外のいわゆる自然的な食物をドバトが採食した例も少なくなく、次のような観察記録がある。

 樹木では、ムクの実、ナンキンハゼの実、ハマヒサカキの実、コナラの芽などを樹上で採食したり、落下したキハダの実を地上で採食した例がある。栽培植物では、トウモロコシ、エダマメ、スバックス(いずれも収穫後畑に残された実・穂)、イネ(収穫後が多いが、収穫前の穂から採食した例もある)などが食べられ、その他ハコベ、オオバコやイネ科草本の種子などをひきちぎるようにしてついばんでいるのが観察されている。動物質としては、前述のカタツムリのほか、ドバトの死体に発生したハエの幼虫を食べた例がある。

 このように相当広範囲の植物の種子や芽が地上だけではなく樹上で採食されている可能性があり、他の鳥類に対する影響が少なからずあることも予想される。



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