絶滅の可能性を示唆したオースチンの報告

 …すでに述べたように1949年の3月から4月にかけて、私はアホウドリの繁殖地としてもっともよく知られていた伊豆諸島南部から小笠原諸島北部にかけて10日間の航海をした。通常の生活史にしたがえばこの種は5月か6月まで繁殖地を離れないはずであり、私の訪れた時期には生き残っている個体があったならば相当大きくなったヒナの世話をしながら付近に留まっているはずと考えられた。….船上から非常に注意深く観察したが、どの島にも周辺海域にもアホウドリ類は見られず、全航海を通じてアホウドリと考えられる鳥のいかなる徴候も見出すことはできなかった。

 …もちろんどこかまだ人の訪れたことのない離島に何つがいかが人知れず生き残っている可能性は常にあるとはいうものの、残念なことにアホウドリが人間の無分別と強欲の犠牲者の一員に新たに加わってしまったことは確からしく思われる。

(オリバー・オースチン・Jr. (1949)アホウドリの現状. パシフィック・サイエンス3巻4号より。 原文英文。Oliver Austin, Jr. 1949. The Status of Steller’s Albatross. Pacific Science, 3(4). オリバー・オースチンJr. は当時、連合国軍総指令部天然資源局野生生物課長)


 

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