鳥柱(とりばしら)

 伊豆の海中に鳥柱(とりばしら)といふものあり。晴天に白き鳥数千羽、盤舞(ばんぶ)して高くあがる。空は眼力の及ばざるに到る。大なる白き柱を海中に立たるがごとし。八丈島より南にありとぞ。

(伊豆の海に鳥柱というものがある。晴れた空に白い鳥が数千羽、ぐるぐると舞い飛んで高く上がる。上空の見えなくなるほどの高さに達する。大きな白い柱を海に立てたようだ。八丈島より南にあるという。)

(菅茶山(かんちゃざん)「筆のすさび」より。菅茶山<1748-1827>は江戸時代の漢詩人、「筆のすさび」は茶山がさまざまな人の話を聞き書きしたもので文化文政期(19世紀初め)に成立した。原文は、植谷元ほか編. 2000. 新日本古典文学大系 99. 岩波書店. 所収。一部パソコンで対応しない漢字を仮名標記に改めた。)

 

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