研究・調査

資料整備3 標識資料の整理と活用(第2班)

2013年5月2日更新

山階鳥類研究所は日本の鳥類標識センターとして、1924年以降に農商務省、農林省、林野庁、環境庁、環境省などが行った鳥類標識調査データ(新放鳥約400万羽・回収約3.8万例)を保有し、これらのデータを有効利用するために、データベース化を進めている。現在、放鳥データについては1984年以降の330万データがすでにデジタル化され、毎年約20万データの追加更新を行っている。回収については1961年以降現在に至るまでのデータ2万5千件がデータベース化され、毎年約1,000データの追加更新を行っている。これらのデータを有効に活用して、鳥類の個体群動態や渡り生態などを解析し、鳥類の環境指標性や保護施策に役立つ基礎資料を得ることを目的として現在次のような解析を進めている。

普通種と思われていた種類が、いつの間にか個体数が減少して、希少種の仲間入りをすることがあり得る。その兆候を科学的にモニタリングしておくことは重要である。例えば1970年代には非常に多かったカシラダカが、1980年代になると減少したことが標識調査によって判明した。標識研究室で長期間重点的に調査している織田山(おたやま:福井県)、婦中(ふちゅう:富山県)、福島潟(新潟県)の3ヵ所の標識調査ステーションでの放鳥データでは、調査規模はほとんど変わっていないのにカシラダカの放鳥数が1970年代から80年代にかけて3ヵ所とも減少し、1990年代から2000年代にかけては少し持ち直しているように見える。

図:カシラダカの総放鳥数の年変動

この現象がカシラダカだけのものか、全国的なのか、その原因が何なのか、またこの先どのようになって行くのか等を解析し、予測していきたい。
北海道しらかみみさき白神岬での夏鳥の渡去のうち8月上旬に渡去するエゾムシクイ、センダイムシクイなどに焦点をあてて解析し、渡りの状況を把握したいと思っている。

その他ハクセキレイの越冬個体群の生残率や性・齢の比率の解析、オオミズナギドリの営巣地への帰還率等の解析、カスミ網調査でスピーカを使った時の捕獲効率の検証、回収記録データベースの整備と解析などを行っている。

第2班「標識資料の整理と活用」の所内のメンバーは、尾崎 標識研究室長、広居 客員研究員、佐藤、茂田、米田、吉安、馬場、仲村の各研究員8名で、所外からは、松田 裕之(横浜国立大学教授)と石黒 真木夫(統計数理研究所教授)の各氏にお願いした。

(山階鳥類研究所 標識研究室 米田重玄)
~山階鳥研NEWS 2006年2月1日号より~


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