カワガラス





 日本の山間渓流に周年普通にみられるカワガラス。川底を歩いたり泳いだりして水棲昆虫を主食としている生態が、興味深い。清流に鳥、被写体としては地味だが、絵になりやすい。


 いかに“絵にする”か?


 近年、ドアップでピントよく画面に捉えたカワガラスは見かけるが、下村は逆にカワガラスを主役としながらも、カワガラスの棲む自然を詩情豊かに写し撮っている。下村作品の真骨頂といってよい。当時のレンズやカメラ機材を思えばピントもこれが限界かと想像されるが、ピントを超越した名作として、今日の野鳥生態写真家も感性を培うだけでも鑑賞に値すると思われる1枚である。


 1939年から下村は映画へ制作活動を拡げ、スチール写真はほとんど発表していない。しかし、映画フィルムの一部を切り取り、そのコマからプリント写真を作った。下図のカワガラス(AVSK_MM_0015)はその一例である。




AVSK_MM_0015  
 
映画コマを引き伸ばした

AVSK_PM_0996



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