2015年6月25日更新

コウノトリ





 松上の巣にコウノトリの家族、茅ぶき屋根の善立寺、昔ながらの耕田。下村兼史が1920年代後半に兵庫県出石郡小坂村尾崎(現豊岡市出石町鳥居)を訪ねて撮った1枚の写真は、往時のコウノトリの里を80余年を経て今に伝える。


 撮影してまもなく、下村は、右の親鳥と同じ位に成長した2羽の雛の巣立ちを見届けた。1956年に特別天然記念物に指定されたコウノトリは、その時すでに僅か20羽に減っていた。そして、日本の繁殖個体群が絶滅したのが、1971年。兵庫県コウノトリの郷公園で前代未聞のコウノトリの野外復帰作戦がスタートしたのが、2005年。その後野外で繁殖したコウノトリは順調に増加している。


 下村の残した写真が、やがて在りし日のコウノトリの里を兵庫県で再現させる指標の役を担うことになろう。


 「鳥類生態写真集」第1Pl.53に掲載された写真(上図)は原板、プリントともに下村資料の中に発見されなかった。全く同じ構図で、異なる原板AVSK_DM_0062が下村資料に存在している。



AVSK_DM_0062(階調を反転)



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