カワセミ






 下村が1922年に初めてカメラに納めたカワセミ。原板第1号として日本の野鳥生態写真史の幕開けを告げる歴史的な写真。


 カワセミが常に止まる庭先の枝にあらかじめピントを合わせておき、紐をひっぱって室内からハンドカメラのシャッターを切って撮ったもの。夕方とはいえ、5分の1秒という今日では考えられないシャッタースピードでの撮影。下村は、こんなスローシャッターで鳥を撮ったのはこれが最初にして最後、と「カメラ野鳥記」のp.217で述懐している。


 1952年に出版されたその著作のp.225に下村自身が書き残している―“原板第1号も、この601号も戦争の為に失った。辛うじて私の手に残ったのはそれ等の原板から得た僅かなプリントが今はあるばかりだ。”


 ところが、“失った”ハズの乾板が、1997年に山階鳥類研究所の下村資料の中に発見されたのである! また、下村の手元に残されたという“僅かなプリント”は、資料の中からついに発見されなかった。



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発見された“幻の”ガラス乾板




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