Ogawa Minori
受入番号 OM19
タイトル 鳥界雜觀 自明治34年4月 至明治35年8月
1901・1902
形態 226pp. 21×17cm

小川三紀は明治34年4月から明治38年8月にかけて『鳥界雜觀』と題する鳥に関してのさまざまな観察事項、事柄を記録した日記帳を3冊遺している。本書には明治34年(第壱集)から明治35年(第七集)までの記録が綴られている。本書22ページの緒言には、鳥界に関するさまざまな事項を雑録として記録したもので、この雑観は、三紀が長くその研鑽の資料とするとある。また、続く23ページ目に凡例が記されている。以下に収録されている項目と主な内容を示す。
  • 鳥界雑観 明治三十四年四月以降(第一集)(pp.1-18)
    千葉県成田山参詣、静岡県、東京市での観察記録。「鳥類(殊に燕雀目)の嘴の形状と其鳴聲との関係)」と題した勉強の記録を含む。
  • 鳥界雑観 明治三十四年六月以降(第二集)夏期休暇期間鳥類視察旅行記(pp.1-41)
    東京市、東京府下、兵庫県播州姫路、静岡県、伊豆半島東方面、伊豆大島での観察記録。
  • 鳥界雑観 明治三十四年九月以降(第三集)(pp.1-15)
    東京市での観察記録。「姫路附近の方言」、「甲州における鳥の迷信」の記述あり。
  • 鳥界雑観 明治三十五年一月以降(第四集)(pp.1-20)
    東京市、東京府下、神奈川県相州三浦三崎・相州鎌倉長谷、千葉県房州八幡附近での観察記録。「静岡通信(鳥便り)」の記述あり。
  • 鳥界雑観 明治三十五年七月以降(第五集)(pp.1-7)
    静岡県龍爪山、静岡での観察記録。
  • 鳥界雑観 明治三十五年七月中旬 富士山麓の夏期鳥界視察報告(第六集) 富士山麓での観察記録。「動物学雑誌Vol.14(pp.267-283 pp.313-327)」の原稿(pp.1-56)
  • 鳥界雑観 明治三十五年八月上旬ヨリ中旬ニ亘ル 梅島、身延、甲府地方 鳥界視察旅行記(第七集)(a)-(b)(pp.1-36)
    静岡県梅が島、山梨県身延・甲府での観察記録。、。
明治35.8.16の記録には、甲府測候所を訪れた際、所長 六川謹吾氏から、富士山麓の鳥界を探るために、もし発売されるものならば是非とも購入したいと思っていた年報を贈られ、心から喜んだ。所長との雑談のなかで、甲府測候所でも鳥類の観測が行われ、鳥類と気温には関係があることを知り、昨年の報告書より抜粋して記録した、と書かれている。このことは後に、『最近十年間 日本鳥類の去來及搆巣に關する報告 一』(OM22)、『最近十年間 日本鳥類の去來及搆巣に關する報告 二』(OM23)、『最近十年間 日本鳥類の去來及搆巣に關する報告 三』(OM24)作成のきっかけとなった。
旧蔵情報
東京大学蔵書票有
東京大学登録番号(AVES 30)
緒言原文(OM19, p.22より)
鳥界雑観の緒言

三十五年九月十四日於東京本郷駒込 諸者識す

題して雑観と云ふ即是レ鳥界に関する万般の事項を大となく小となく、凡て雑録として他日の備考と為したるもの、其●余の此に●●せしは明治三十四年三月、本郷附近に普通なる四十雀の鳴声の研究を以て最●しとす、余此鳥の鳴声が如何にも愛しき声して 朝未明より朝霞を破りて昌る鳴き張りければ生殖時期の鳴声をと知らん為には最好時ありと思ひ此より日毎に其声調如何を聴奉し 其都度余の新案に成れる附号とたて以て現はせり、以後雑観は日を追ひ月を重ね年を経て逐る今茲の夏の休暇終りを以て此の巻の終尾とし、数●●うしめんが為め、合●となし 以て永く余が斯●研鑽の資料に供せんとす。

鳥界雑観 明治三十四年四月以降(第一集)

凡例

此の書は余が平素耳目に触れたる鳥類を其都度
記録したるものにして、鳥学に関する余の日記なり
又●に微々の歡察を記するに止らずして休暇
間は●●鳥界視察旅行の報告及地方よりの
鳥便り、其他時にふれ折にふれて余が鳥に関して
思い●したる妄想など又歡察、遠足の際常
に注意して鳥類之去来、出現、構巣、
産卵、習性、鳴声等凡て余が耳目に達する
限り、及ぶ丈、視察せる事項は凡て之を記載
せきものなり

※●は判読できない文字


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